城崎温泉 スマホで通訳…動画チャット利用実証実験

 外国人観光客が急増している豊岡市の城崎温泉街で、関西電力の通信子会社「ケイ・オプティコム」(大阪市)が、スマートフォンの動画チャット機能を利用した通訳サービスの実証実験を始めた。土産物店や飲食店、外湯など計14か所で、外国人客と店主、従業員の会話を支援する。英語が得意な国内外の主婦や学生をインターネットで結び、在宅勤務で通訳として働いてもらう国内でも先駆的な試みだ。

 昨年、城崎地域で宿泊した外国人は約3万1400人で、前年比2・26倍に急増。外国人観光客との意思疎通が課題となっている。

 実験は4日に始まり、7店舗と七つの外湯が参加。28日まで午前9時~午後10時に行う。通訳を担うのは、在宅ワークサービス会社「うるる」(東京)が採用した20~50代の男女20人。交代制で常時2~3人が自宅で待機し、城崎の店舗や外湯から通訳の要望があれば、スマホの動画チャットで日本人と外国人の会話を聞き取り、英語と日本語に訳して相手に伝える。

 11日は、土産物店「いたや」で実験を公開。市国際交流員のサマンサ・バロウさん(25)が観光客役になって「兄の2歳の娘のために浴衣がほしい」と英語でスマホに話しかけると、米国ユタ州にいる菅原桃子さん(25)が日本語に訳して店側に伝えた。経営者の三宅裕子さん(54)は「これまでは簡単な英単語を並べるしかなかったが、これは便利。中国語や韓国語なども加えて、早く実用化してほしい」と期待していた。

 通訳した菅原さんは米国の大学院進学を目指して勉強中といい、「隙間時間を有効活用して、日本の国際化を応援したい。カメラを通して、外国人観光客の楽しそうな顔を見ていると、私も観光している気分になれる」と満足そうだった。

 ケイ・オプティコムによると、在宅勤務の通訳者を活用することでコストを抑えられるといい、「料金はコールセンターを使う従来の通訳サービス(1か月3万~1万5000円程度)の半額が目標」。豊岡市の担当者も「外国人の誘客にどれだけ有効か、各店にヒアリングしたい」と話している。

From The Yomiuri Shinbun 

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